総合病院で飾られていた絵画について

以前勤めていた病院が、院長が美術品への造詣が深い人であり、中央区銀座のレンタル絵画を利用していました。
病院の待合や、診察室、廊下などに美術品が飾られていました。
中には、院長先生が自ら筆をとられた絵画や、併設している老人関連施設の入居者様が作成された絵画が展示されていましたが、中に本物の芸術家の方々の作品がちりばめられていることで全体の完成度を高めていたように感じられます。
私だけかもしれませんが、死と隣り合わせになる病院という殺伐とした雰囲気の中でその絵を眺めていることが好きでした。
写実的な絵から抽象的な絵、油絵のようなものから水彩画まで、多彩な芸術品が掲載されおり、どのタイミングかはわからないのですが途中で絵画が入れ替わることもありました。
病院は、入院される方も、外来で来院される方も、お見舞いに来られる家族も、中で働いている人間も、誰もが心身ともに疲弊する可能性がある場所です。
そのため、さりげなく絵画が飾られていて、誰もがそれを見ることができるのは大変良いことだと思います。

私は絵画のことがわからないですが、患者さんの中にも絵画を見るために散歩をするとか、一枚の絵画を気に入ってその絵を見ることを楽しみにしているという人が何人か見えました。
入院が長引いていたり、足腰が弱くて外出が難しい患者さんは、気分転換も限られています。そのため、絵を見るということは視力さえ保たれていればできることであり、患者さんの負担もかなり軽減されているようでした。
このように、気持ちが閉塞しがちな空間で、できることが限られている患者さんの癒しとしての役割を絵画は果たしていると思います。

また、絵画は購入しようとすると一つ当たりとても高い値段が付くと聞いたことがあります。私の勤めていた病院は総合病院で、絵を展示するだけでもたくさんの数が必要になります。
廉価でたくさんの価値が高い美術品を集めようと思ったら、購入していたら莫大な費用が掛かってしまいます。
そのため、レンタルという制度が大きな企業や病院にはあっていると感じました。

あるいは、中小規模の病院や企業でも、一つ価値のある絵画を置くだけでも雰囲気が大きく変わると考えます。
しかし、一方で経費削減として一番に候補としてあげられる可能性があるのもまた絵画だと思います。
そのため、時と場合によっては必要がない文化として扱われてしまう可能性も高いだろうなと感じています。

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