ローカル線の存続を阻む防げない壁

止まることを知らないマイカーの普及で、依然として苦戦を強いられているのが、地方のローカル線です。経営難により様々な手を講じざるを得なかったり、或いはバスへの転換などで存続を断念するケースも少なくないのが現実です。

そのような物理的で行動的な要因に加えて、地方のローカル線の存続を阻んでいるのは、自然的な要因です。主に豪雨によって、線路が流出することや地盤が著しく脆くなることにより、長期的に運休せざるを得なくなってしまい、今も運転が再開されていない路線が存在します。それが、福島県会津地方の山間部を走るJR只見線です。会津地方の中心都市・会津若松と、会津地方南部の町や村を結ぶ生活路線なのですが、5年前の豪雨災害により、一部区間の被害があまりにも甚大だったことから、今もなお運転見合わせとなっており、運転再開の目処は一向に立っていません。辛うじて、代行バスが運行されていますが、鉄道からバスへの乗り換えが半ば強制的に生じることから、不便な状態となっています。

そもそも、当該区間の運転本数は、往復で1日に数えられる程度のみで、以前から経営的に厳しい路線でした。その状況からの豪雨災害で、もはや崖っぷちとも言える状況です。JR東日本としての方針は今も明らかになっていませんが、5年間再開されないままということは、半ば運転再開を諦めているかのようにも感じます。最も沿線自体が自然に囲まれた中小規模の山岳部を走ることから、仮に再開させたとしても、また豪雨や竜巻などの甚大な自然災害の影響で、長期的な運休に見舞われる可能性も少なくなく、更に収益が安定するほどの利用客増加も見込めないことから、JR東日本の明かされてこそはいないものの、5年間の経過から伺える方針の意味も解らなくはないように感じます。

会津地方の自然を楽しみながらのんびりとした鉄道の旅を楽しめる只見線は、これまでも幾度となく存続の危機を迎えていましたが、今はその中でも特に正念場、再開と存続、双方のリスクが立ちはだかっています。
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